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スーダン:地雷対策活動を終了 知見を現地団体に引継ぐ

2020年05月01日  スーダン地雷対策
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AAR Japan[難民を助ける会]は、スーダンで2006年以降、地域住民が地雷の危険から身を守る知識・方法を伝える「地雷回避教育」、および地雷被害に遭った方々への支援など、地雷対策に取り組んできました。2006年に南コルドファン州で地雷回避教育に着手したのを皮切りに、カッサラ州で2012年に地雷回避教育、次いで2016年に地雷被害者支援をそれぞれ開始し、2018年には治安の悪化により一時活動を停止していた南コルドファン州とともに、青ナイル州でも、現地協力団体を通じて同様の支援を実施しました。また、首都ハルツーム一帯のハルツーム州でも現地NGOを対象に地雷対策の研修を行いました。AARは一連の地雷対策活動で得られた成果と知見を現地団体に引き継ぎ、2020年1月をもって首都ハルツーム事務所を閉じました。これまでのご支援への感謝とともに、活動の成果を報告します。

地雷回避教育―のべ約17万人に身を守る知識を伝える

室内で現地スタッフが中央に立ち、周囲を取り囲みぎっしりと座っている子どもたちに紙芝居を使って地雷の危険性や見つけたらどうしたらよいかを伝えている

地雷や不発弾が身近に存在することを、イラストを使って子どもたちに教える地雷回避教育(2018年8月、カッサラ州)

スーダンでは二次にわたるスーダン内戦などたび重なる紛争で、無数の地雷や爆発物が投下・埋設され、今なお各地に地雷や不発弾が残っています。スーダン政府は2003年に対人地雷禁止条約を批准し、地雷除去や地雷回避教育、被害者支援など包括的に地雷対策を実施していますが、地雷・不発弾の被害者は現在も増え続けています。報告されているだけでも2,111人(2002年~2017年)に上り、確認された以外にも多数の被害者がいると言われています(「ランドマインモニター2019」より。詳細はこちら(英文))

AARが2012年から地雷回避教育と被害者支援を行ってきたカッサラ州は、特に地雷・不発弾の事故が多い地域です。スーダン政府は2018年、同州全域から地雷が除去されたと発表しましたが、実際には大規模な洪水などによって近隣地域から地雷・不発弾が流れ込むこともあるため、同年以降も回避教育を継続する必要がありました。地雷回避教育では、州の5つの地域をAAR現地職員のチームが巡回し、地雷・不発弾がどのような色や形状をしているのか、地雷・不発弾を見付けたときはどのように行動すれば良いかを、計1,701人の住民に伝えました。子どもたちも理解できるように、イラストや写真を取り入れた教材を使うなど工夫を凝らしました。

地雷被害者支援―再び社会に参加できるように

地雷事故に遭ったり、それにより精神的なトラウマを抱えたりしている被害者の支援にも力を入れ、2019年にはカッサラ州の11地域の地雷被害者を含む障がい者計50人に義肢や補助具を支援しました。また障がいのために仕事を失ったり、仕事に就けないでいる方も多いため、小規模ビジネスを起業するための研修を10人に実施するとともに、立ち上げに必要な資機材を提供しました。研修後、各自が雑貨店や携帯電話の充電サービス店などのビジネスを始めています。地雷被害者の多くが、事故に遭った時の辛い記憶や障がいに対する周囲の偏見など、精神的な苦痛を抱えながら生活しているため、外部の心理士の協力を得てそうした方々の心のケアにも努めました。

がらんとした国立技師装具センターのリハビリ室で、写真中央で女性が支えを使わずに歩く訓練をしている

義肢を装着して歩行訓練を行う女性(2019年3月、ハルツーム州の国立義肢装具センター)

AARによる地雷回避教育を受けた方々はのべ16万8,881人、支援を届けた地雷被害者を含む障がい者は187人に上り、地雷・不発弾による事故の防止と被害者支援に一定の成果を上げることができました。

現地NGOの力を高める

スーダンでは、現地のNGOも各地で地雷回避教育を実施しています。そうした活動をサポートするために、AAR は2019年8月、ハルツーム州で現地NGO職員を対象とした地雷回避教育の教材作成、教材の効果的な使用方法に関する3日間の研修を行いました。AARでは独自に教材を作成し、その教材の一部はスーダン国内で現地政府や他のNGOなどによって行われる地雷回避教育の教材としても採用されています。この研修では、教材の種類(リーフレット、ポスター、ラジオドラマなど)や教材作成時の注意点といった基礎知識に加えて、教材の改訂のタイミング、教材が住民に効果的に使われているか測定するモニタリング方法についても説明しました。参加者からは「研修で学んだことを生かして、住民が理解しやすい教材作成を心がけたい」といった感想が寄せられました。

全16名の人々が4列に並んだ集合写真。最後列では研修を支援したAARなどの団体名と研修名の書かれた旗を掲げている

教材作成研修の参加者たち。最前列左はAAR現地職員のヤシール・エルガリー(2019年8月、ハルツーム州)

AARのスーダン地雷対策事業は、皆さまからのご寄付に加え、日本外務省、国連地雷対策サービス部(UNMAS)、国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)およびJTI Foundationの助成を受けて実施しました。この成果は、現地協力団体など関係者によって今後も生かされていきます。これまで活動を支えてくださった皆さまに心より御礼申し上げます。

なおスーダンでAARは引き続き、マイセトーマという感染症の対策活動に取り組んでまいります。今後ともご支援をいただきますようお願い申し上げます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

 東京事務局 北 朱美(きた あけみ)

臨床検査技師として病院に勤務した後、タイで公衆衛生を学ぶ。帰国後、AARへ。ザンビア事務所、ミャンマー事務所、パキスタン事務所駐在を経て、2017年5月より東京事務局勤務。長崎県出身

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