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現地スタッフにバトンタッチ!・・・ミャンマー人のみでの新体制 障害者のための職業訓練校

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難民を助ける会は、ミャンマー(ビルマ)のヤンゴン(ラングーン)で、障害者のための職業訓練校を運営。裁縫や美容・理容の技術を指導し、卒業後も経済的・社会的に自立できるよう支援しています。現地スタッフの育成に力を注ぎ、2008年4月からは訓練校に日本人駐在員を置かず、ミャンマー人スタッフだけでの運営を開始します。この新体制をつくるため、どのように現地スタッフの成長を支えてきたのかを横飛が報告します。

まじめで人がいいスタッフたち、でも?

現地スタッフ、卒業生と横飛駐在員

現地スタッフ、難民を助ける会職業訓練校の卒業生たちと横飛駐在員(前から3列目左)

2004年3月、私が赴任したのは、ちょうどミャンマー事務所スタッフの入れ替わり時期。そのため、同期として多くのメンバーと一緒に新しいスタートを切ることができました。

まじめで人がいい、それが彼らの第一印象。しかし、業務においては、「自分の仕事を評価する」ことや「学びを活かす」ことが苦手。やり方を知らないがために、多くのことにつまずいていることに気がつきました。

スタッフとしての自覚と責任感

日々のミーティング

日々のコミュニケーションが大きな信頼関係をつくりました

そこで、将来は現地スタッフだけでの運営を目指し、人材育成に力を注ぎました。うまくいっていない部分はまず一緒にやり、徐々に彼らにまかせていく。何かにつまずいていれば、その原因は何かを自分自身で気がつくような質問を投げかける、という方法をとりました。4年経った今では、質問を投げかける必要もほとんどなくなりました。

スタッフの多くは、組織で働いた経験がありません。苦手な仕事を指導する場合は、結論を先に言うのではなく、私から質問を投げかけ、スタッフに自分で考えてもらいながら進めていきました。一つひとつの仕事を終えるのに時間はかかりますが、繰り返していく内にコツをつかみ、自分でできるようになりました。

また、常に「ここはミャンマー。将来はミャンマーの人たちだけで運営できるようにやっていこうね」と言って自立の意識を高めてきました。

社会の一員として卒業後も活躍できるように

ミャンマー人スタッフ

横飛駐在員より運営や問題解決の方法をしっかりと学んだスタッフたちは、やる気と自信に満ちています

会議では、目的を意識せずに話し合いをしていることもしばしばありました。

例えば、訓練生が生活する寮の規則を破った生徒への対応を話し合った際は、「目的は何か?」という質問を投げかけました。「罰を与えることではなく、再度破らないようにすることが目的」であることを確認し合い、それをもとに対応策を話し合ってもらいました。

また、訓練生による学校の評価の結果を話し合う際には、「訓練生から厳しい評価を受けたスタッフを責めるのが目的ではなく、事業をより良くすることが目的」ということを共通認識に。それにより前向きに話し合うことができました。

部下の失敗は上司の責任、部下の成長は上司の功績

スタッフの組織図

事務所の前に掲示されているスタッフの組織図。それぞれの役割が一目で分かります

コツを掴んだスタッフは、新人スタッフの育成で活躍しています。詳細なスタッフ育成制度を構築し、「部下が成長しないのは上司の責任、逆に部下の成長は上司の功績でもある」ことを常に伝えました。今では、職業訓練校の現地代表と各部署のチーフを中心にきめ細やかな人材育成が行われています。

毎週行われるスタッフミーティングで、新人スタッフが上手く発表できなかったことがありました。すると他のスタッフから「こうしたらもっとよくなるよ」とアドバイスが。さらに、チーフが「上司である自分の責任でもあるから、来週この点に関して自分がきちんと教えます」と発言しました。

その後、その新人スタッフは目に見えて成長しました。スタッフ育成についてもミャンマー人スタッフだけで十分やっていけると感じました。

現地スタッフだけの運営に不安はありません!

横飛駐在員からバトンタッチ

横飛駐在員(右)からしっかりとバトンが渡されました

現地スタッフに運営を任せることに不安はないかと聞かれることもあります。毎期入れ替わる訓練生やスタッフ、そのほか多くの関係者など人間相手の仕事なので今後もさまざまな問題が起こるでしょう。でも、その問題を解決する力が、スタッフにしっかり身についているので不安はありません。

ご支援くださっている日本の皆さま、そして大きく成長したミャンマー人スタッフのおかげで、安心してバトンを渡すことができます。

今後とも難民を助ける会職業訓練校をどうぞよろしくお願いします。

この活動は、多くの方からのご寄付に加え、平成19年度下半期国際ボランティア貯金の助成(寄付金の配分)も受けて行っています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ミャンマー事務所 横飛 裕子

2004年3月よりミャンマー駐在。大学卒業後、民間企業のヤンゴン駐在として2年勤務。帰国後は障害者や要介護者のための旅行業務などを経て、難民を助ける会へ。

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