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ザンビア:エイズで親を亡くした子どもたちを支援しています

2011年12月01日  ザンビア感染症対策
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平均寿命46歳-親を亡くした子どもは推定で約69万人

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チパパで活動するエイズ対策クラブの学生たちとザンビア駐在員の山井美香(前列右から2人目)

アフリカ南部に位置するザンビア共和国。人口1,330万人、国土は日本の2倍のこの国のHIV陽性者は約98万人(2009年国連合同エイズ計画統計)にものぼり、国民の平均寿命は46歳(2010年国連人口基金統計)です。HIV陽性者は、成人(15~49歳)の約13.5%に達し、働き盛りの年齢層の減少が顕著です。そのため、エイズにより両親または片親を亡くし、祖父母や叔父叔母に引き取られる、もしくは兄姉とともに暮らす「エイズ遺児」が推定で約69万人いると言われています。子どもを世帯主とする家庭もあるなど、事態は深刻です。

ザンビア政府は2005年に「国家保健戦略計画2006-2010」を策定し、エイズの発症を遅らせる抗レトロウィルス薬(ARV)の無料供給を開始するなど、HIV/エイズ対策を強化しており、近年、エイズが原因で亡くなる人の数は減少しつつあります。しかしながら、潜在的なHIV陽性者の多さに対し、自身の感染に気付いている人はまだまだ少なく、HIV抗体検査を受けるようすすめるなど、草の根レベルでのHIV/エイズ対策活動は必要です。

「子どもたちの学費は保護者や地域の住民で捻出しよう」

難民を助ける会では、ザンビアにおけるエイズ遺児を少しでも支援しようと、遺児の世話をする保護者が主体となって、学費などの資金を得るための所得創出活動を実施しています。始まりは2004年。首都ルサカのンゴンベという低所得者層が住んでいる地区において、学費や学用品、食料の支援、そして心理サポートを実施したことに始まります。その活動を通じて保護者が気づいたのは、学校に行くにはお金がかかるが教育は重要だということ。難民を助ける会が支援をしてくれるのは嬉しいけれども、いつまでも支援に頼ることはできない、ということでした。そこで難民を助ける会は、保護者の収入向上を応援しようと、製粉や養鶏を通じた所得創出活動を開始しました。目標は、子どもたちの学費を「自分たち」で捻出し、子どもたちが学校に通い続けることです。そのために、保護者の代表や、ンゴンベ近郊に住んでいる人に運営担当者として活動に従事してもらうことにしました。

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製粉を手伝うダグラスくん(16歳。写真左)製粉の売り上げで新しい教科書を買えました

製粉事業では、近所の人々が持ってきたメイズ(トウモロコシ)を機械で粉に挽いて、その代金が収益になります。開始当初は売り上げが伸び悩んでいましたが、2009年にメイズの皮むき機を導入し、剥いた皮も売れるようになったことで、売り上げが伸びるようになりました。しかし、雨季(12月~4月。メイズが希少になり、価格が高騰する時期)になると、売り上げは乾季(8月~10月。メイズが比較的安価に手に入る時期)の約半分に落ちてしまいます。そうした不安定な売り上げをなんとかしようと、お客さんにメイズの消費動向に関する聴き取り調査を実施したり、近郊の農家とメイズの直接調達について交渉してきました。その結果、2010年からはメイズを農家から直接安く仕入れるようにしました。おかげでメイズの販売は好調で、売り上げが少しずつ伸びています。よく製粉を手伝ってくれるダグラスくん(16歳)は、製粉の売り上げで新しい理科の教科書を買うことができました。

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鶏を1匹ずつさばいていきます。運営担当者やその子どもたちもお手伝いです

養鶏事業では、生後1~2日のヒナを6週間育て、鶏肉にして販売しています。始めた当初は、ヒナの死亡数の多さが悩みでした。しかし、運営担当者がヒナの管理の質を向上させることで、現在、死亡数やサイズは安定してきています。また重要なのがマーケティングです。昨年は、市場調査をし、宣伝を工夫しました。毎週木曜日や日曜日に開かれる大きな市場で販売をしたり、レストランや会社などで大口顧客の新規獲得を試みています。新しく大口の顧客を見つけることはとても大変で、長期的に粘り強く活動していく必要があります。一方で、個人への販売も地道に行っています。大きなアピールポイントである、無添加で安心であること、味が美味しいこと、そして何よりも就学支援に繋がることを積極的にアピールしています。

「将来は弁護士になって、困っている人のために働きたい」

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当会が就学を支援するコサム・ピリ・ルングくん(13歳)将来の夢は弁護士になること。右は東京事務局の河野洋

現在、この就学支援活動は、54名の児童を対象に行っています。所得創出活動で得た利益で54名の子どもたちの全就学費用を賄うにはいたっていませんが、上記のような工夫で少しずつ、また着実に年々収益を増やしています。

9月に、東京事務局の河野洋とともに、このうちの10名に会ってインタビューをしてきました。両親を亡くし祖父母と住んでいる子、叔父叔母と生活をしている子、片親と兄弟と一緒にいる子などさまざまでした。ただ共通していたのは、どの子も将来の夢を叶えるため、一生懸命に勉強をしていることです。学校が終わって毎日1時間半から2時間近く自宅学習をしているそうです。将来の夢の一番人気は弁護士で、会計士やジャーナリスト、小学校の先生になりたいという子もいました。そのうちの一人、13歳のコサム・ピリ・ルングくんはンゴンベの小学校の6年生。4人兄弟です。父親は病気で、コサムくんは水汲みや皿洗いなどの家事を手伝ってから登校するのが日課です。「将来は弁護士になって、正義のために、そして困っている人々を助けるために働きたい」と語ってくれました。

こうした子どもたちの夢を叶えるため、難民を助ける会は、引き続きこの活動を続けてまいります。

事業を担うのは、ザンビア事務所の現地スタッフたち
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ザンビア事務所のスタッフたち(後列左から、シャロン、ギブン、アンジェラ、フレーザー、ケビー。前列右から、キャサリン、ムレンガと、山井美香)

私が毎日一緒に仕事をする難民を助ける会ザンビア事務所の現地スタッフ。事業地に日々足を運び、支援する人々や関係団体と直接調整をとっていたのは主に彼らでした。
私のジャパニーズイングリッシュにもすぐに慣れてくれ、通訳もそつなくこなし、視察にいらっしゃった他団体の方から「現地スタッフがしっかりしているね」というお言葉をいただいたこともあります。
73の民族が共存するザンビア。当会事務所のスタッフも、出身となる民族はさまざまです。今から47年前の独立以降、“One Zambia, One nation,(ひとつのザンビア、ひとつの国)”というスローガンのもと、民族融和政策がとられ、目立った民族対立はありません。とはいえ当会スタッフに関しては民族には関係なく?!仲が良いようで悪いようで・・・ザンビア人は穏やかな性格なのか、スタッフ同士の口論はおとなしめではありますが、でもしょっちゅうあります。他愛の無い内容に、聞いていて思わず笑ってしまうこともよくありました。本人たちはいたって真剣ですが。
とにかく、彼らなしには事業はまわりません。皆それぞれに財政面や家庭環境などに事情を抱えながらもがんばっています。これからも頼もしい存在で、ザンビア発展の一端を担ってほしいと思います。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ザンビア事務所駐在 山井 美香

2009年11月より2011年11月までザンビア・ルサカ事務所駐在。大学を卒業後、航空会社に勤務。その後米国の大学院で公衆衛生学を学び、難民を助ける会へ。(兵庫県出身)

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