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クラスター爆弾禁止条約第3回締約国会議に参加しました

2012年10月05日  ラオス地雷対策
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2012年9月11日から14日にかけて、ノルウェーの首都オスロで、「第3回クラスター爆弾禁止条約締約国会議」が開催されました。2010年8月に発効した同条約には、2012年10月1日現在で111ヵ国が署名、AAR Japan[難民を助ける会]の活動国であるラオスやアフガニスタン、日本を含む76ヵ国が批准しています。会議には31の非署名国を含む120ヵ国以上の政府代表者らが参加しました。AARからは、東京事務局の堀越芳乃と、ラオス駐在員の山下祐美子の2名が本会議オブザーバーとして参加するとともに、会議期間中に常設された展示ブースでは、AARが各国で実施している地雷・不発弾対策活動を紹介しました。また、会議2日目のサイドイベントでは、東南アジア地域における被害者への支援活動を中心に、AARの取り組みを発表しました。

締約国で6割が破棄される一方で、新たな使用も

会議場の様子

オスロ市内の会議場で開かれた本会議の様子(2012年9月11日)

毎年1回開催される会議では、クラスター爆弾の廃絶や不発弾の除去、被害者への支援などに関する締約国からの報告があります。今回の会議で取り上げられた大きな成果は、現在までに、締約国が保有していたクラスター爆弾のうち75万個が破棄されたことです。これは締約国の保有量の6割にあたり、廃絶に向けた対策が着々と進んでいることを確認できました。また、ラオスに隣接するカンボジアやベトナムを含む非署名各国からも、この条約を支持する声があげられ、クラスター爆弾廃絶に取り組む姿勢が示されました。また、被害者支援に関する討議での日本政府代表によるスピーチでは、AARがラオスのシェンクワンで行っている被害者支援活動が日本の取り組みの一つとして紹介されました。

一方で、不発弾として残ったクラスター爆弾は市民の生活にとって今も大きな脅威となっています。昨年の第2回会議から今回までの間に、シリアとスーダンでクラスター爆弾が使用された疑いがあり、会議では非難の声が挙がっていました。また、今回の会議期間中にも、セルビアでクラスター爆弾の処理作業にあたっていた作業員が爆発事故で犠牲になるという悲しいニュースがありました。これから新たな被害を生まないためにも、アメリカや中国といった大国の一刻も早い加入が求められています。

AARの被害者支援活動についても報告しました

スライドを使ってAARの活動を紹介する山下

AARの被害者支援活動について発表するラオス駐在員の山下祐美子(9月12日)

クラスター爆弾の廃棄に向けた取り組みが進む一方で、忘れてはいけないのが全世界で数万人に上ると推定される被害者への支援です。不発弾の被害に遭ってしまうと、事故が起きた直後の救急医療から社会復帰まで、被害者の生涯にわたる長期的かつ多様な分野での支援が必要ですが、それが十分に行われるケースはまだまだ多くありません。

そんな中AARは、世界各地で地雷や不発弾の被害者を含む障害者への支援を行っています。会議のサイドイベントにおいて、堀越と山下はAARの支援活動について発表を行いました。特に被害の深刻な東南アジア地域での被害者支援に焦点を当てて、これまでラオスやカンボジア、ミャンマー(ビルマ)で実施してきたAARの地道な取り組みや経験、課題について報告するとともに、政府代表者や支援国に対して、被害者支援の重要性や、さらなる資金協力の必要性、NGOの活動を支える仕組みの改善を呼びかけました。

オスロの地で不発弾対策への思いを新たに

参加者に資料を手渡す堀越

会場に設置したブースで参加者にAARの活動について説明する東京事務局の堀越芳乃(右、2012年9月14日)

今回会議の開催されたオスロは、2008年にクラスター爆弾禁止条約の署名式が行われた街です。また、毎年ノーベル平和賞の授賞式が行われる都市でもあります。1997年の平和賞は地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)とジョディ・ウィリアムズに与えられ、AAR理事長の長有紀枝もここで授賞式に出席しました。そのような特別な場所に立ってあらためて、地雷・不発弾対策の必要性を強く感じました。AARはこれからも、未来の被害者ゼロに向けた教育活動や、万が一事故に遭ってしまった場合に備えた応急処置研修、また充実した被害者支援を続けていきます。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ラオス・シェンクワン事務所 山下 祐美子

2010年10月よりラオス・シェンクワン駐在。大学卒業後、看護師として病院に勤務。その後、イギリスの大学院で保健システム管理について学び、帰国後AARへ。

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