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東日本大震災:震災から2年―これまでの活動報告

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AAR Japan[難民を助ける会]では長年の海外での緊急支援の経験を活かして、東日本大震災の支援活動を進めてまいりました。特に支援の手の届きにくい方々に配慮し、行政や障害当事者団体等と連携しながら、NGOならではの機動性を活かしたきめ細かい支援を進めています。ご協力いただいた個人・企業・団体の皆さまに心より御礼申し上げますとともに、この2年間(2011年3月―2013年2月)の取り組みについてご報告します。

※活動は多岐にわたるため、一部を省略しております。これまでの個別の活動報告は下記からご覧ください。

復興支援:新しい明日のために

障害者・高齢者施設の修繕:67ヵ所

トレーラーハウスを使ったカフェ

山元町共同作業所(宮城県)の「カフェ地球村」はトレーラーハウスを使って2012年12月にオープン。近隣から多くのお客さんが訪れています。(2012年12月6日)

震災では多くの障害者施設が被災しました。施設では、障害があるために企業などでの就労が困難な方々が働いたり、就労訓練を受けたりしていましたが、震災でその場が失われてしまいました。AARは障害者施設の修繕や作業に必要な機器の提供などを行い、障害のある方々の活動の場を取り戻す支援を行っています。

福祉施設で作られた製品の販売会:19回

企業での販売会の様子

東京でも多くの企業が販売会に協力してくださいました。(2012年3月9日)

被災地の福祉施設ではお菓子や手芸品の生産が再開しつつありますが、以前の顧客も被災したこと もあり、売り上げは多くの施設で激減しています。AARはこういった福祉施設計23ヵ所の販路開拓支援として、都内の企業で東北三県の福祉施設商品の販売会を開催したり、盛岡・仙台のショッピングセンターでの合同販売会への出店を支援しています。新製品の開発にも協力しています。

地域交流イベントの開催:157回

竹を使った大工教室

福島県の子どもたちが避難生活によるストレスや運動不足を解消して西会津町の自然の中で楽しく遊べるよう、「西会津わくわく子ども塾」を2012年7月から開催しています。(2012年7月22日)

被災者の方々が心身ともに健康に過ごせるよう、「地域みんなで元気になろうプロジェクト」と題して様々なイベントの開催を支援しています。各地の仮設住宅ではリハビリ・コンサート・傾聴活動などを組み合わせたイベントを定期的に開催しています。また、畑仕事で体を動かし、ご近所の方々との交流が生まれるようにと、小規模農園での農作業も支援しています。

福島で遊具の設置・提供:26ヵ所

保育園への水の提供:9ヵ所、11,440リットル

仮設住宅の敷地に設置された遊具で遊ぶ男の子

仮設住宅の敷地内に公園が生まれました。(福島県新地町、2013年2月27日)

子どもたちが狭い仮設住宅内で抱えるストレスを発散し、運動不足を解消できるような遊び場を作るために、仮設住宅の敷地内に大型遊具を設置したり、集会場や保育施設等に屋内遊具を提供しています。

また、水道水の放射能を心配するお母さんたちの声を受けて、福島県内の保育所にミネラルウォーターの支援も行っています。

放射能測定機の配付:11台

測定の準備をする女性

刈敷田第一仮設住宅サポートセンター(相馬市)で使われている放射能測定機(中央奥)。食材を刻んで測定器に入れると、15分ほどで結果が出ます。

露地物の農作物や日々の食材の放射線量を測定できるよう、食品放射能測定機を福島県相馬市の仮設サポートセンターや公民館などに設置しました。

全国からの想いを届ける

手作りトートバッグ:10,543個

チョコレートを受け取って笑顔の女性

岩手県釜石市中妻仮設団地で、メッセージを読んでチョコをお渡しする東京事務局の川越東弥(右)。「元気が出ました」と喜んでいただきました。(2012年12月19日)

支援物資を整理したり通学に使うためにトートバッグが重宝するという被災地の声を受けて、全国の皆さまに作成を呼びかけたところ、メッセージ付きの手作りバッグが多数寄せられまいた。(募集: 2011年4月、2011年10月、2012年9月)

チョコレート:4,843個

AARのチャリティチョコレート(協力:六花亭製菓株式会社)に、皆さまからお寄せいただいた応援メッセージを添えて被災地へ届ける「まごころキャンペーン」にも多数のご協力をいただきました。「あなたのことを忘れていません」というメッセージに涙を流す方もいらっしゃいました。(募集: 2011‒2012冬、2012‒2013冬)

花の苗:1,603鉢

2012年春には、彩りのない被災地に花を届けようと「花とまごころキャンペーン」を展開。被災地の障害者施設や園芸店で鉢植えを購入し、メッセージカードを添えて仮設住宅などに一つ一つ届けました。

被災地の障害者福祉制度を充実させるために

職員の派遣:5名、のべ63ヵ月間

圏域センター建物の前で、AARの小原

盛岡圏域センターで福祉事業所のサポートに取り組むAARの小原一夫。(2012年7月25日)

行政や他団体と協力して、被災地の障害者福祉制度の整備を進めています。岩手県では「いわて障がい福祉復興支援センター」の各地の圏域センターに計4名の職員が出向。被災障害者の実態把握、緊急避難時のマニュアル作成などの業務を行っています。

宮城県では「社団法人 宮城県手をつなぐ育成会」に1名を派遣し、南三陸町を中心に、障害のある子どもたちが夏休みや放課後に楽しく遊ぶことのできる場の整備を進めました。

復旧支援:日常生活を取り戻す

福島県の被災者への生活必需品支援:22,599世帯

仮設住宅の前で支援物資を手渡す

自治体や商工会の方々のご協力をいただきながら、扇風機やこたつ、洗剤などの日用品をお届けしました。(2011年8月5日)

福島県内13市町村の仮設住居・借り上げ住宅に入居する全世帯を対象に、台所用品や食器棚などの生活必需品を配付しました。

障害者施設・高齢者施設・自治体などへの車両提供:45台

車いすも乗れる大型の福祉車両

「JDF(日本障害フォーラム)被災地障がい者支援センターふくしま」に福祉車両を提供しました。(2013年1月15日)

福祉施設を利用する方々の送迎や、復興支援に携わる方々の移動に必要な福祉車両・一般車両を、東北各地の施設や自治体に提供しました。

家庭用発電機などの配付

家庭用発電機:258台

足踏みたん吸引器:419個

発電機を囲んで、ステーションの皆さまと

いずみ老人訪問看護ステーション(福島県郡山市)に家庭用発電機をお届けしました。(2012年10月19日)

人工呼吸器やたん吸引器を使って自宅で生活している障害者にとって、停電は命に関わる問題です。地震のときは多くの地域が停電になり、大勢の方々が、発電機を備えた病院に駆け込んだり、車のバッテリーを使うなどして命を繋ぎました。そうした方々が安心して在宅ケアを続けられるよう、障害のある方々の世帯や訪問看護センターに、家庭用発電機や足踏み式たん吸引器を配付しました。

コンテナハウスの提供

コンテナハウスの組み立ての様子

「陸前高田未来商店街」に設置されたコンテナハウスは現在も店舗として活用されています。(2011年11月2日)

住居や店舗などとして使える組み立て式のコンテナハウスを提供しました。

緊急対応:命をつなぐ緊急支援

支援物資の配付:のべ1,606ヵ所、180,000人

軽油のドラム缶を福祉施設に運ぶ

燃料不足が深刻な被災地で、障害者施設などを中心にガソリン・軽油・灯油を届けました。(2011年3月17日)

災害時には障害者・高齢者が支援から取り残されやすい、という海外での活動経験から、これらの方々への支援に重点を置いて活動を進めました。福祉施設ではおとな用おむつやレトルトの介護食などが喜ばれました。

炊き出し:のべ73ヵ所、25,000食

巡回診療・保健活動

巡回診療受診者:のべ817人

看護師による巡回訪問受診者:のべ387人

避難所で血圧を測るAARの看護師

「皆さんが何度もうちまで来てくれて、自分の体調を気にかけてくれて、本当にうれしい。自分の存在に気づいてくれる人がいると思うとがんばれる。」という方もいらっしゃいました。(2011年5月30日)

宮城県の牡鹿半島で、在宅避難者宅や避難所をきめ細かく訪問し、地元の安田敏明医師を中心とした医療チームによる巡回診療と、慢性疾患の診察や感染症の予防・精神的サポートなどの保健活動を行いました。

今後の活動計画

AARは今後も、原発事故の影響下で暮らす方々への支援、被災地域における障害者・高齢者への支援を継続してまいります。

  • 原発事故の影響下で暮らす方々への支援を引き続き実施していきます。地震・津波・原発事故により屋外活動の機会が制限された子どもたちが、日々身体を動かし、心身の健康を維持することができるように、障害児施設や仮設住宅での遊具の提供・設置、「西会津わくわく子ども塾」の開催を継続し、子どもたちの野外活動の機会を提供していきます。また、相馬市や近隣市町村の仮設住宅を巡回し、被災者の声に耳を傾け、住民に寄り添った支援活動を継続していきます。
  • 障害者の方々の社会参加・経済活動への参加を促進していきます。福祉作業所における仕事の創出、市場価値の高い商品の生産を通じて、より多くの障害者が自立した生活を送れるよう支援を継続します。また、行政や社会福祉協議会等と協力しながら、東北3県における障害福祉の復興基盤整備を支援していきます。
  • 実施中の「地域みんなで元気になろう」プロジェクトにて、理学療法士・作業療法士によるマッサージや健康体操、産業カウンセラーによる傾聴活動、住民が主体的に参加する畑仕事や手工芸を継続し、仮設住宅、みなし仮設住宅における人々の交流を活性化するとともに、高齢者の孤立化を防いでいきます。
  • これまでの緊急復興支援の経験をもとに、自治体・関連団体と協力し、防災・減災のための支援を実施します。
  • 手作りトートバッグキャンペーンやまごころキャンペーンを通じて、被災地とご支援くださる方々を繋ぐ活動も継続し、多くの方々が引き続き東日本大震災被災地の復興に関心を持ち、支援に参加いただけるよう活動していきます。

AARの東北復興支援活動は皆さまのご寄付に支えられています。ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

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