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キラーロボットの禁止に向けて、進む国際議論

2015年11月26日  啓発
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特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)締約国会議には、約100ヵ国の政府と国際機関、NGOの代表が参加しました(2015年11月13日)

2015年11月12日と13日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で「特定通常兵器使用禁止制限条約」(CCW)の締約国会議が開催されました。2013年4月に発足した市民社会の国際的なネットワーク「キラーロボット反対キャンペーン(Campaign to Stop Killer Robots)」の運営委員として、AAR Japan[難民を助ける会]から松本夏季が本会議に参加しました。

「キラーロボット(殺傷ロボット)」とは、自律的に標的を決定し、人間の判断なしに攻撃を行う兵器のことです。まだ存在していませんが、実用化されれば、人間の判断なしにロボットが標的を攻撃することが可能になってしまいます。

存在しない兵器への規制は不可能?

初日の11月12日は、CCWの各国・地域での実施や普遍化の状況、全般的な見解について、日本をはじめとする41ヵ国の政府とEUの代表、国連、国連地雷対策サービス部(UNMAS)、国際赤十字委員会やNGOから発言があり、キラーロボットについては37ヵ国が言及しました。「人道上、早期に規制するべきである」との意見が多く挙げられ、キラーロボット反対キャンペーンの参加団体は、本会議やサイドイベントを通して、CCWやその他の場で、規制に向けた議論をますます進めるべきと強く訴えました。2日目もキラーロボットに関する討論が続きましたが、「そもそもキラーロボットの定義が曖昧である」「現状存在していない兵器について議論する必要があるのか」という意見もありました。 しかしCCWの第四議定書で規制されている盲目化レーザーも、人道的な観点から予防的な禁止措置が取られており、現存しない兵器に対する規制は不可能ではありません。

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NGO席からも活発な発言が続きました。中央はAARの松本夏季(2015年11月12日 (c)Campaign to Stop Killer Robots)

兵器の自動化や人工知能の発展のスピードには目をみはるものがあり、キラーロボットの規制のためにはCCWでの議論を一層早める必要があります。キラーロボットに関しては来年も議論が継続されることとなりました。

キラーロボットの問題は単に政治や軍事の問題ではなく、今後市民社会が一丸となって取り組んでいくべき人道問題です。ロボットが人を殺す将来を迎えないために、AARはこれからもこの問題について、日本から発信を続けていきます。

キャンペーンロゴ

「キラーロボット反対キャンペーン」は、2013年4月に殺傷ロボットの問題に関心を持つNGOの世界的な集まりとして発足しました。現在25ヵ国から56団体が参加しており、随時参加団体を募集しています。ご関心のある団体は、AARまたはキャンペーン事務局までご連絡ください。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 松本 夏季

大学院在学中に国際機関でインターンとして勤務し、卒業後AARに入職。2012年4月より東京事務局にて広報や啓発などを担当。2015年10月よりネパール、ザンビアなどの支援事業を担当。東京都出身。27歳 

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