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ミャンマー:医療施設の照会が社会復帰のきっかけに

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AAR Japan[難民を助ける会]では、ミャンマー・カレン州の4区19村で障がいのある方々の暮らしを地域で支える活動をしています。障がいが理由で家にこもりがちな方々が外出したり働いたりできるように、AARは補助具を提供したり、病院やリハビリテーション施設と連携し、適切な医療機関の紹介などをしています。

「理容師になりたい」

誰もが暮らしやすい地域づくりを目指し、AARは障がい当事者を含む地域住民の中から「コミュニティボランティア」を募り、彼らが中心になって村の障がい者の生活状況の聞き取りや、支援計画の立案などを進めています。現在コミュニティボランティアとして活動するソー・モ・モさんは、事故によって脊髄を損傷し、以前は自力で歩くことができませんでした。仕事を辞め、車いすで生活しながらリハビリに取り組みましたが、なかなか歩けるようにならないために諦めかけ、リハビリにも積極的に参加できなくなりました。
2018年6月、AARがコミュニティボランティアを対象に開催した「福祉サービス研修」に参加したソー・モ・モさんは、リハビリの意義と効果を学び、歩行訓練への意欲を取り戻しました。

ソー・モ・モさんが松葉杖を2本脇に挟んでいる。両隣でAARスタッフが笑顔で彼の身体を支えている

AARが提供した松葉杖でリハビリに励むソー・モ・モさん(中央)。両隣で彼を支えているのは、ともにAARスタッフで理学療法士のティンザー・ココ(左)、チャン・ミン・アウン(2018年9月18日)

AARはソー・モ・モさんを「パアン・リハビリテーションセンター(HORC)」 へ照会。センターで筋力トレーニングや歩行器を用いた歩行訓練を続け、松葉杖を使って歩けるようになりました。「自分の村で理容師として働きたい」という夢を叶えるため、AARがヤンゴンで運営している職業訓練校へ通うことを目標に、リハビリに励んでいます。

「よくなることはない」と思っていた

脳性麻痺の少女、ピュー・ピュー・ゾウさん(5歳)。母親は娘の適切な介助の仕方が分からず、相談できる人もいなかったため、彼女を家で寝かせたまま生活していました。母親は娘の状態や将来に希望を失い、こうした生活が変わることはないと思っていました。理学療法士の資格を持つAARの現地スタッフは、日々の生活で彼女が1人で行動できるようになることの大切さを母親に伝え、家庭でできるリハビリを伝えるほか、無償で補助具の提供をしているHORCを紹介しました。
母親は、ピュー・ピューゾウさんに寝返りを打つことや自力で座位を保つリハビリを開始。リハビリの成果によって、ピュー・ピュー・ゾウさんは座ることができるようになり、HORCから車いすが提供されました。現在は、HORCの指導の下、車いすを使って生活をするための新たなリハビリに親子で取り組んでいます。母親はいくつも仕事をかけ持ちする忙しい生活の中でも、積極的にリハビリに取り組んでいます。

笑顔で車いすに乗るピュー・ピュー・ゾウさん。AARの現地スタッフが車いすを押しています

HORCから提供された車いすに乗り、笑顔がはじけるピュー・ピュー・ゾウさん(2019年1月23日)

車いすには、膝の上あたりに台が設置されており、その上におもちゃなどを置いて遊ぶことができます

障がい児のグループ活動に参加し、おもちゃをつかった遊びを楽しんでいます(2019年2月7日)

外出が楽しみに

脳性麻痺のポー・バー・ス・ゲさん(16歳)は、以前は自力で外出することができず、必要なときは父親がおぶって出かけていました。学校にも通えませんでした。
AARの照会でHORCから車いすが提供されたことで、彼女は毎週日曜日に教会に行けるようになったほか、月に1度の障がい児のグループ活動にも参加し、周りの障がい児やその家族と交流する機会が生まれました。今では家族もポー・バー・ス・ゲさんも、外出することをとても楽しみにしています。

麦わら帽子をかぶって車いすに乗るポーバースゲさん。障がい児二人とAARの現地スタッフと並んで撮影

障がい児グループの子どもたちと一緒に遊びました。左端がポー・バー・ス・ゲさん。その隣はAAR現地スタッフのティンザー・ココ(2019年3月5日)

5名ほどでゲームボードを囲み、ゲームに熱中する障がい児たち

月に1度開催される、障がい児のグループ活動への参加が楽しみになりました(右から2人目がポー・バー・ス・ゲさん、2019年3月5日)

ゴム農園での仕事を再開

ゴム農園で働くウ・ジャパンさん。今でこそAARスタッフが訪問すると笑顔で迎えてくれますが、出会った当時はいつもイライラして、怒りやすい方でした。
木から落ちて脚長差(左右の足の長さが異なる症状)の後遺障がいを負ったウ・ジャパンさんは、杖を使わなければ歩行できず、仕事もできなくなりました。それだけでなく、障がいを受け入れられず気分が落ち込み、家から出なくなってしまいました。AARがウ・ジャパンさんを病院に照会すると、足に合った特殊靴が提供されました。その後、彼は特殊靴を履いて歩行のリハビリを続け、杖を使わなくても歩けるまでに回復し、ゴム農園での仕事に復帰することができました。

農園のなかで満面の笑みを浮かべるウ・ジャパンさんとAARスタッフ

ウ・ジャパンさん(右から2人目)とAARスタッフ(左からポー・ロー・エー・セー、ナン・シー・ラー・タン、ソー・ニュウン・エイ)(2018年11月15日)

地域住民で解決し、支え合えるように

2019年3月、AARはコミュニティボランティアを対象とした2回目の「福祉サービス研修」を実施しました。参加したコミュニティボランティアは、病院やリハビリ施設のリストを受け取り、地域の障がい者を各施設に照会する流れを学びました。また、コミュニティボランティアはAARスタッフの活動に同行し、研修で学んだことを実践したり、地域の障がい者に必要なサポートを提供するための経験を積んでいます。
将来的には、今はAARスタッフが行っていることも地域住民が担うなど、地域で障がい者を支え合えるよう、AARは今後も地域住民とともに、支援の仕組み作りに取り組んでまいります。

この活動は皆さまからのご寄付に加え、外務省日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ミャンマー・パアン事務所 安齋 志保

2018年7月よりミャンマー・パアン事務所駐在。大学卒業後、NPOで精神障がい者支援に8年間従事。休職中に青年海外協力隊員としてスリランカに赴任。復職後、途上国の障がい者支援に携わりたいと、AARへ。静岡県出身

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