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障がい分野の国際会議で、日本とミャンマーから提言

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2019年6月26日~28日にマカオで開催された「国際リハビリテーション協会(RI)アジア太平洋地域会合」および、7月2日~4日にモンゴルで開催された「第4回アジア太平洋CBID(Community-based Inclusive Development: 地域に根差したインクルーシブな開発)会議」にAAR職員が参加しました。両会議における成果や学びについて、東京事務局の野際紗綾子が報告します。

東日本大震災の教訓が活かされているか

マカオの会議は、障がいがあってもなくてもともに支え合うことができるインクルーシブな社会の実現を目指したもので、会場は、33の国や地域から約1,500名もの参加者で熱気に溢れていました。(会議の様子はこちらの動画でご覧いただけます)
最初のセッションでは、タイの上院議員のモンティエン・ブンタン氏が講演。まず世界の潮流を振り返り、2015年にはミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)へと目指す指針が変わったことや、これまでに197ヵ国が障害者権利条約を批准したことを説明。その上で、障がい者のアクセシビリティや差別禁止に関する法律の制定と施行の必要性、また、障がいインクルーシブなビジネスのルール化の重要性を強調されました。
公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会副会長の松井亮輔氏は、日本における障害者権利条約の履行状況について発表。特定非営利活動法人日本障害者協議会(JDF)がまとめたパラレルレポート(※1)を用いて見解を述べられました。日本を含むアジア太平洋地域の現状や課題を理解し今後を考える上で、大変参考になりました。その後も、多くの大変興味深いセッションや発表が続きました。(一部の発表資料は、こちらからダウンロードが可能です)

AARからは、6月27日の分科会において、障がいインクルーシブな防災・減災について発表しました。東日本大震災では、障がい者の死亡率が全体の死亡率の2倍であったことが判明しましたが、この教訓が果たしてその後の国内災害に活かされてきたのかどうか、障害者権利条約のパラレルレポートの第11条「危険のある状況及び人道上の緊急事態」やインチョン戦略(※2)の目標7「障がいインクルーシブな災害リスク軽減および災害対応を保証すること」、持続可能な開発目標(SDGs)のスローガン「誰一人取り残さない」といった観点から振り返りました。また、日本の課題や今後の展望についても発表しました。

(※1)パラレルレポート・・・障害者権利条約に関する政府の履行状況報告に対して、市民社会が自国の意見をまとめて障害者権利委員会へ報告したもの
(※2)インチョン戦略・・・アジア太平洋地域の障がい者の権利を実現するため、2012年11月に韓国のインチョンで開かれた国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)において定められた行動計画


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AAR東京事務局の野際紗綾子が、障がいインクルーシブな防災・減災について発表(2019年6月27日、マカオ)

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AAR東京事務局の野際紗綾子(後列左から3人目)発表の後に、ブラジル、ガンビアなど各国のみなさんと。日本障害者リハビリテーション協会の上野悦子氏(後方左から2人目)は進行を務めてくださいました。(2019年6月27日、マカオ)

ミャンマーのヤンゴン事務所とパアン事務所から事例を発表

モンゴルの会議には、東京事務局の後藤由布子、ミャンマー・ヤンゴン事務所のスー・スー・ライン、パアン事務所の安齋志保とともに参加しました。7月2日の分科会では、後藤とスー・スー・ラインが、「障がいインクルーシブな経済的なエンパワメント」をテーマに発表しました。AARが2000年からミャンマーの最大都市ヤンゴンで運営する、障がい者のための職業訓練校運営における事例や課題などを述べました。また、AARが現地団体とともに、ミャンマーでは初となる企業向けの「障害者雇用の手引き」を発行した取り組みを報告。この報告の後、関連団体からは「同手引きの世界版を製作したい」といったお話をいただきました。休憩時間も質問が絶えることなく、大盛況に終わりました。
7月3日の分科会では、パアン事務所の安齋が発表。世界の障がい者の8割は、都市から離れた地方に暮らすと言われています。そのため、地方における支援活動の重要性や必要性について、AARの取り組み事例を紹介しながら来場者とともに考えました。

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AARヤンゴン事務所からの発表では、100名を超える参加者が熱心に聞き入りました(2019年7月2日、モンゴル)

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発表が終わった後も質問の列が絶えず、多くの参加者がAARの活動に高い関心を寄せてくださっていることが、ひしひしと伝わってきました。会議に参加した、AARパアン事務所の安齋志保(左)、AARヤンゴン事務所のスースーライン(中央)AAR東京事務所の後藤由布子(右)(2019年7月2日、モンゴル)


会議終了翌日の7月4日には終日ワークショップが開催され、「アジア太平洋CBR(CBID)ネットワーク」の役員に加えて、関連機関や財団の関係者30名程が、日本からは筆者が「JANNET(日本障害分野NGO連絡会)」の幹事として参加し、アジア太平洋地域におけるネットワークの構築や連携の可能性について議論を交わしました。障害者権利条約の真の実現には長い道のりがある中、障がい分野に取り組むNGOの資金繰りや、障がい当事者の若手の育成といった課題が多々挙がりました。しかしながら、そうした課題に対し、国や地域を超えた連携の可能性が広がったことを実感できたのは大きな収穫でした。 (モンゴルの会議報告の詳細は、JANNETメールマガジン7月号(191号)PDF版JANNETメールマガジン7月号(191号)テキスト版.docxよりご覧いただけます)

学びや繋がりを今後の活動に

多くの参加者による興味深い発表に学び、障がい分野で日々尽力する人々との交流や励ましを通じて、皆で力を合わせ、障がいの有無にかかわらず、すべての人に優しく、災害に強靭な世界を創っていけたら、という想いを新たにすることができました。7月27日と8月2日には、それぞれ日本障害者リハビリテーション協会とJANNETが主催で、マカオの会議とモンゴルの会議の報告会を開催し、詳細報告も行っています。二つの会議を通じて得られた学びや繋がりを今後の海外・国内の活動に還元すべく、ベストを尽くしてまいります。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 野際 紗綾子(のぎわさやこ)

2005年に入職後、東京事務局でミャンマーをはじめアジア地域事業を担当し、障がい者支援や緊急支援に従事。2009年より障害分野NGO 連絡会(JANNET)幹事、2015年よりアジア太平洋CBRネットワーク北東アジア役員、2016年より日本障害者協議会(JD)企画委員を務め、2019年5月に同理事に就任。東京都出身

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