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ラオス:母子保健事業が終了 皆さまのご支援に心より感謝します

2019年10月17日  ラオス啓発
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山岳地帯に位置し、医療サービスにアクセスしづらいラオス・ポンサリー県は、妊産婦と乳児の死亡率が国内で最も高い地域です。そこで、AAR Japan[難民を助ける会]は2015年より同県で、住民を巻き込んだ母子保健サービスの改善に取り組んできました。ポンサリー事務所元駐在員、安藤典子からの報告です。

村人が清掃を行い、集めた大きなゴミ袋を前にして並んで撮影

衛生環境改善のために村人が清掃を行い、とてもきれいになりました(2019年3月4日)


この事業では、医療機器の提供、衛生環境の改善に向けた活動、ヘルスセンター職員への研修、地域住民に対する健康教育などを行ってきました。3年間の取り組みで変わったこと、まだまだ継続していかなくてはならないことがありますが、現場から、皆さまのご支援に対する感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

「出産で亡くなるお母さんや子どもがいなくなったように感じます」  レック・カムパスックさん:ナムサー村コミュニティーヘルスワーカー
沐浴の方法を伝えている。大きなたらいの横で赤ちゃんを抱いている女性のまわりに、村人が集まる

郡保健局職員に指導を受けながら沐浴を行うレック・カムパスック (2019年3月19日、ナムサー村)

AARの事業がはじまるまで、妊産婦健診や出産のために医療機関に行く人はほとんどいませんでした。私は母子保健について研修を受けたことで、医療機関を利用する大切さを、村の人たちに伝えられるようになりました。それによって、亡くなるお母さんや子どもがいなくなったように感じます。
けれども、恥ずかしがって受診しない人はまだ多いです。先日も、なかなか赤ちゃんが生まれないと連絡が入り、その妊婦の家を訪れ医療機関に行くように伝えました。夫や両親も一緒になって受診を勧めましたが、本人が同意しなかったんです。最終的には、私がヘルスセンターの職員に電話をして、村まで来てもらいました。ですが、家では何かあっても対応できないし、清潔でもありません。
このように医療機関に行こうとしない人もまだいますが、村のお母さんや子どものために、これからも粘り強く受診の必要性を伝えていこうと思っています。

「ヘルスセンターがとてもきれいに整理整頓されるようになりました」ビライ・ブントゥンさん:ポンサリー県保健局
きれいに整頓された棚

事業がはじまる前は、台の上と下に不要なものが積まれ、ネズミの糞がたまっていましたが、今は整理整頓されています。(2019年7月11日、ヘルスセンターにて)

衛生環境の向上を目指すAARの活動のおかげで、ヘルスセンターの中がきれいに整理されるようになりました。ほかの施設にも広めたいです。事業の終わりに行った聞き取り調査では、「以前に比べてきれいになった」と答える住民が増えました。まずは、清潔な環境で安心して診察が受けられることが、ヘルスセンターへの信頼感を上げるための第一歩だと思います。職員は、利用者の視点にたって考えられるように少しずつ変わってきました。

「お金がなくても続けられることはある」ブンペン・バンリーさん:ヤオファン村コミュニティーヘルスワーカー
スクリーンに衛生環境に関する映像を映し、マイクを持ち村人に伝える

地域住民に村の衛生環境について話すブンペン・バンリーさん(2019年5月9日、ヤオファン村)

村の会議でAARの事業が終わることを伝えたら、村の人たちが、「AARのおかげで、村が良くなってきた」「これからも活動を続けていきたい」「お金をかけなくても、村の中をきれいにして環境をよくできることを、AARが教えてくれた」と言っていました。今までも、衛生環境を改善する必要性を何度も伝えてきたけど、変わりませんでした。村をよくすることに前向きになった人が増えて、うれしいです。自分も村のためにもっと頑張っていこうと思います。

ポンサリーのこれから

イラストが描かれた大きな布を、たくさんの子どもたちが見ている。横ではスタッフが布を使い説明をしている

誰でも分かりやすいように、イラストとや写真を使い、健康の大切さを啓発(2019年3月13日)

この事業を通じて、母子保健サービスを提供する医療機関の衛生面が向上し、清潔な入院環境が保たれるようになりました。また、ヘルスセンター職員が研修を受けた結果、サービスの質向上に関する知識が高まったり、利用者のニーズに対する認識や配慮が深まったことが確認されました。感染症予防や子どもの栄養に関する健康教育イベントも15村で実施しました。ほかにも、コミュニティーヘルスワーカーへ救急搬送体制の手順を実習した結果、出産時や子どもの体調不良時にスムーズに搬送された事例が複数ありました。
妊産婦や5歳未満児の高い死亡率の減少につなげるため、母子保健や健康に関する正しい知識を身につけたヘルスセンター職員、コミュニティーヘルスワーカー、住民などを増やすことに貢献できました。

女性のコミュニティーヘルスワーカーが家庭を訪問し、家の前では赤ちゃんを抱えた母親が座っている

コミュニティーヘルスワーカーが家庭を訪問(2019年3月4日)

成果がすぐに見えないこともたくさんあり、さまざまなアプローチを考えた3年間でした。それでもまだ十分にできていないこともあります。今まで続けてきた慣習はそう簡単には変わりません。3年で事業を終わってしまっていいのかという葛藤もありました。けれども誰もが「AARの事業の終わりとともにこの活動が終わってしまわないように続けていく」と決意を口にしてくれます。
これまでのAARの取り組みは、各ヘルスセンターや郡保健局職員へ引き継いでおり、今後も継続して行われる予定です。いくつかの村のコミュニティーヘルスワーカーやヘルスセンター職員は、「自分たちが変われば村の人も変わる」と実感したと思いますし、それを励みに活動を続けてくれると信じています。

これにてポンサリー事務所での活動は終了となりました。これまで応援してくださった皆さまに心より御礼申し上げます。

 この活動は皆さまからのご寄付に加え、外務省日本NGO連携無償資金協力の助成およびを受けて実施しました。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ポンサリー事務所 安藤 典子

看護師として10年間大学病院に勤務した後、青年海外協力隊に参加しラオスで2年間活動。帰国後、看護師勤務を経て2012年1月よりAARへ。岐阜県出身。2019年9月に退職。

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